「幻の橋を見てみたい!」
ダム湖に沈み、毎年水没と出現を繰り返す旧士幌線のタウシュベツ川橋梁は「幻の橋」とも言われています。
長年訪問したいと思いつつもなかなか実現できなかったのですが、ようやく見に行くことができました。
コロナ禍が落ち着いてきた10月のある日、タウシュベツ川橋梁を見に行くために北海道へ行ってきました。
ぬかびら源泉郷へ
帯広市内から車で旧士幌線と沿うように国道を北上すること1時間あまり。ぬかびら源泉郷へ向かいます。
ぬかびら源泉郷は宿が10件ほど、人口も約100人ほどの小さな温泉街。ちょうど紅葉が見頃を迎えていました。
街から少し外れたところに旧糠平駅跡地があります。現在その場所には鉄道資料館があり、士幌線の歴史にふれることができます。
いよいよタウシュベツ川橋梁へ
今回、地元NPOが主催する見学ツアーに参加し、橋を見学しました。
ぬかびら源泉郷からNPOの車に乗り、さらに旧士幌線の線路跡を歩くこと数分。
森が開けた途端、橋が現れました。
ちょうど、湖面にアーチ部分が映って「めがね橋」状態に。ガイドさん曰く、早朝以外の時間帯で「めがね橋」を見ることができるのは珍しいそうで、ラッキーでした。
また、例年10月になると橋は湖に沈んでいることが多く、紅葉と橋を同時に見ることができるのも珍しいとのこと。
崩壊が進む橋
逆光になりますが、橋全体を見てみます。
全長約130m、11連のアーチを見ることができます。
しかし、一部のアーチは側壁が崩壊し内部の詰石が崩れ落ちています。まさに「首の皮一枚でつながっている」といったところでしょうか。
橋のそばまで近づいてみます。
橋内部の詰石がいつ崩れ落ちてもおかしくない状況で、もちろん橋を渡ることはできません。
間近で見ると、側壁はコンクリートとは思えないほどの劣化具合であることがよくわかります。手で触る(※)とポロポロと崩れ、橋の周りにはコンクリートの破片が散乱しています。
※橋に触れる際は、ガイドさんの指示に従ってください。
橋の完成から80年以上、廃線(※)から70年近く経過していますが、保存や復元はしないことが決まっています。ただ朽ちていくのを見届けるしかありません。
※士幌線は1955年に糠平ダム完成により糠平湖周辺の線路切替を実施。タウシュベツ川橋梁もその時に廃線となった。(士幌線の廃止は1987年)
次回訪問できる時は、橋はどのような姿になっているのでしょうか。
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